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健康コラム

2019年1月11日 金曜日

大腸がんのおはなし

大腸がんのおはなし
日本人の3人に1人はがんが原因で亡くなっています。その中でも増えているのが大腸がんです。大腸がんになる人は、この30年で約6倍に増えています。がん死亡者数の中で大腸がんは男性では第3位、女性では第1位になっています。日本で大腸がんになる人が増えている原因としては、食生活の欧米化(肉類など動物性脂肪の摂取が増えた一方で線維質の多い野菜の摂取が減ったこと)、高齢化が進んだことなどが考えられます。食生活の改善のほか、飲酒量、喫煙、運動など日常生活に気をつけることが大切です。
大腸がんとは、その名のとおり大腸にできるがんです。大腸は小腸と肛門の間にある臓器で主に水分を吸収して便を形成する働きがあります。大腸がんは盲腸から直腸までのどの部分にもできますが、日本人では直腸とS状結腸ができやすい部位です。
大腸がんは早期の段階では症状がほとんどありませんが以下のような症状がでることがあります。
①便に血が混じることがある。
②便が細くなってきた。
③便通異常を来すようになってきた(下痢と便秘を繰り返すなど)。
④腹部に膨満感がある。
⑤残便感がある。
⑥腹痛がある。
⑦最近貧血が進んできた。
このような症状が出てきたときには大腸がんの可能性を考えて検診や医療機関での検査を考えましょう。
簡便な検診法としては便潜血反応検査や直腸指診検査があります。精密検査としては大腸内視鏡検査や注腸造影検査などがあります。
便潜血反応検査は便中に血液が混じっていないかどうかを調べる検査です。専用のスティックで便を採取して専用の容器に入れて検査に出します。便が大腸のがんの部分を通過すると、こすれて出血し便に血液が混じることがあります。この検査ではわずかな量の血液でも検出することが可能です。大腸がん検診でも用いられている検診法です
大腸内視鏡検査は肛門から軟らかい管状のカメラ(内視鏡)を入れて大腸の中を直接観察する検査法です。大腸の中の様子を直接テレビモニターで観察できます。大腸にできた病気の組織の一部をとって顕微鏡で詳しく調べる検査で、悪性か良性かなどを判定することもできます。精度の高い検査法としては大腸内視鏡検査が一般的です。内視鏡検査を行っている病院やクリニックなどで検査を受けることができます。
がんの進み具合によって治療法や生命予後(治るかどうか)は異なります。大腸がんは検診によって早期発見することが可能な病気で、早期発見できれば高い確率で治すことができるがんです。40歳を過ぎれば検診の受診を、気になる症状が出現した際には医療機関の受診をお勧めいたします。

投稿
酒井内科 院長 酒井太門


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