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健康コラム

2020年4月 1日 水曜日

アレルギー性結膜炎のおはなし

「アレルギー性結膜炎」は、眼科外来で最も多い疾患です。(日本在住者の25~30%が持っているという報告があります。)
アレルゲン〔アレルギー反応をきたす原因〕としては、多いものから順に、ハウスダスト(通年性)、花粉(季節性)、動物の毛等があります。アレルゲンに対する感受性が完成するまでは発症は起きず、症状は出現しません。アレルゲンの感受性が完成されなければ、アレルゲンの量に関係はしません。但し、一旦アレルゲンに対する感受性が完成すると、生涯持つことになります。
アレルゲンとしては2~3月に飛散するスギ花粉が有名ですが、その症状はテレビのCMで「目がかゆくなる」と言われていますが、典型的な症状は「起床時、上まぶたが腫れぼったく重く感じられる」事です。目の違和感を覚えた時、睡眠時に最も目をこすりますし、また、眠っている時は加減も出来ません。
 起床時、「目が重たく」感じると、「寝不足かな?疲れているのかな?」と考えがちですが、就眠中に目をこすり、結膜下浮腫が生じた結果であることが多いのです。
アレルゲンは「花粉」であれば季節限定であり、「ハウスダスト」であれば通年性であり、不定期に炎症が強くなります。
「アレルギー性結膜炎」は、人から人に感染するものではありませんが、唯一、やっかいなのは、就眠中に加減せず目をこすり、角膜〔黒目〕上皮を傷つけてしまった場合です。
 私達の手は、どれだけ消毒しても、無菌状態にする事はほぼ不可能であり、また、目を触らない人もいません。私達は日常生活において頻繁に各種の菌を目に入れている訳です。
 そこで、更に角膜〔黒目〕の上皮を傷つければ、眼内への入り口が出来た事になり、眼内炎という入院が必要な重篤な疾患を併発する事があります。眼内炎併発を防ぐために角膜〔黒目〕上皮が再生が完了するまで感染予防を厳しく行う必要があります。
眼帯をしますが、私達は両眼視により遠近感を取れていますが、片目を塞ぐ事により立体視が不十分となり、転倒の原因にもなります。また、私達の頭髪、顔面皮膚には常在菌が存在しており、洗髪・洗顔により、汚染された水が眼内に入り、眼内炎を起こし易くなるため、角膜〔黒目〕上皮の再生完了まで長ければ2週間以上も洗髪・洗顔が行なえなくなります。
眼科医の立場からすると、「もう1~2日早く受診されて点眼加療を開始していれば角膜〔黒目〕上皮が傷つかなくて済んだのに」と思う事は少なくありません。
炎症の程度に応じた点眼を行う事により、上記のような事は防げますので、起床時、目の周囲の違和感があれば近日中に眼科受診を行って下さい。

投稿
村上眼科医院 院長 村上 眞

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2020年3月 2日 月曜日

骨粗鬆症のおはなし

立った状態からこける程度の衝撃で骨折してしまうことを脆弱性骨折と言います。2013年の要支援・要介護認定の原因で、転倒・骨折は11.8%で4位となっていて、転倒・骨折は日本人の健康寿命を縮める一つの要因になっています。
脆弱性骨折を起こしやすい部位は手首(橈骨遠位端)、肩の付け根(上腕骨近位部)、背中・腰(椎体)、足の付け根(大腿骨近位部)などです。特に大腿骨近位部骨折は単に移動能力や生活機能を低下させるだけでなく、受傷後1年の死亡率は10-15%と高く予後も不良です。近畿大や大阪医大のグループの調査で、兵庫県は40歳以降の女性の大腿骨頸部骨折の発生率が全国1位でした。
骨粗鬆症の危険因子は加齢、家族歴(一親等の大腿骨頸部骨折)、脆弱性骨折の既往、基礎疾患として甲状腺機能亢進症、2型糖尿病、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患などがあります。
整形外科の先生方と連携しリスクのある方への啓蒙を行い、未然に骨折を防ぐことが大切と考えています。

投稿
阿部内科医院 院長 阿部泰尚

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2020年2月 1日 土曜日

梅毒のおはなし

古くから、「発疹を見たら梅毒を疑え」とまで言われています。どんな病気なのでしょうか。感染してから3週間は症状がありません。その為、自分も病気に気づかないまま、人にうつしてしまう可能性があるのです。
梅毒に感染した場合、約3週間後に紅く小さなしこりができます。外陰部や尿道口に好発し、肛門や鼠径部、口の中や舌、乳房、へそ、指にできる事もあります。口唇にできると、びらんになりやすく、子宮口や膣にできた場合は全く気付かない事も考えられます。鼠径部のリンパ節が固く腫れる事が多いです。ここまでが第1期梅毒です。これらの症状は数週間で自然に消え、約3カ月後の第2期まで無症状の期間が続きます。症状が無いのに感染力が強い状態です。
治療せずに3カ月経過すると病原体が血液の中に入り、うっすらと赤い発疹やおできがぱらぱらとできます。体幹や顔、首の後ろ、手掌や足底、のどや外陰部の粘膜など全身の広い範囲にできるのが第2期の特徴です。リンパ節の腫れ、発熱、頭痛や筋肉痛などの風邪に似た全身症状が出る事があります。感染力が強い時期で、次第に脱毛や白斑、爪囲炎など様々な症状がみられるようになります。感染後3年がたつと皮疹は目立たなくなり、感染力は弱くなりますが、病は進んでゆき神経の症状や大動脈炎などが発生します。受胎前や受胎時に梅毒にかかった場合、未治療なままでいると赤ちゃんに深刻な影響がでます。妊娠がわかったら、すぐに梅毒の検査を受けましょう。妊娠中に梅毒にかかった時や、不十分な治療しか受けられなかった場合は、胎盤を通じて赤ちゃんに感染する可能性があります。
梅毒にかかっているかどうかは血液の検査をすればわかります。治療は主に内服薬で、早期に治療すれば完治できます。心配な時は性病科・泌尿器科・産婦人科・内科・皮膚科等の受診をお勧めします。
一度梅毒にかかって完治した場合でも、感染機会があれば何度でもかかるので注意して下さい。

投稿
石原医院 院長 住本佳代子

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2019年12月 3日 火曜日

体脂肪を燃やして見た目も中身も若く!!

 年齢を重ねていくごとにカラダ年齢には個人差が出てくる。お腹周りにたっぷりと脂肪を蓄えてしまった自分と昔と変わらない印象の友人とのギャップに驚いた経験がある人もいるかもしれない。実年齢を若くすることは出来ないが、カラダ年齢を実年齢より若く保つことは可能だ。若々しいカラダをキープするポイント、やるべきことは極めてシンプル。体脂肪を改善するには24時間の過ごし方が大切だ。
① 自律神経(バランスを整えて毎日カラダを確実にリカバリーする)
基本的に日中は交感神経が、夜間は副交感神経が優位でこのリズムが崩れると血流の悪化、ホルモン分泌の乱れが起こり細胞の修復力や代謝の低下につながり太りやすくなったり、シミやシワが現れて老化が進む。
② 食生活(糖質の摂取量と栄養バランスを見直すべし)
内臓脂肪の肥満が多いとされる日本人。いわゆる中年太り。糖質か脂質を必要以上に摂取している可能性が高い。また中性脂肪の合成を促すインスリンを大量に分泌させる糖質過多の食生活は肥満の原因となる。自分が何をどれだけ食べているのか。それを自覚することが体脂肪の改善つながるはず。
③ 活動量(意識的にカラダを使い、生活の中での活動量をキープする)
机に向かってひたすら仕事をしていると、知らず知らずのうちに活動量が減ってしまう。日進月歩、世の中が便利化していく事もそれに拍車をかけている。エスカレーター・エレベーター・車。体脂肪の改善を目指すなら、あえて便利な生活を遠ざける事が必要だ。
④ 運動(適度な運動習慣が太りにくいカラダを作る)
体質の個人差はあるものの、エネルギーの収支が黒字になれば体脂が蓄積するのは自明の理。摂取しているカロリーが運動量を上回ってしまうとその分が体脂肪になる。年をとれば運動量が減り、筋肉量の低下で基礎代謝が落ち、体脂肪量&体脂肪率が上昇する。だからこそ、年齢を重ねた分、運動量、筋肉量をしっかり確保し、消費カロリーが摂取カロリーを上回るように心掛けたい。

投稿
岡田医院 院長 岡田祥敬

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2019年11月 8日 金曜日

過敏性腸症候群について

過敏性腸症候群について

過敏性腸症候群とは、検査を行っても明らかな病変がないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛、腹部膨満感など持続するものをいいます。例えば昔から緊張するとおなかが痛くなったり、トイレに行けない状況で便意をもよおしたり、下痢と便秘を繰り返しまともな排便がないなど、命にかかわる病気ではありませんが、不快感が強く生活の質を低下させます。
過敏性腸症候群は、20~40歳代の若い年齢層に多くみられ、先進国に多く、日本においては人口の10~15%程度の方にみられるというデータもあります。
過敏性腸症候群の明らかな原因はいまだ不明ですが、大腸や小腸など消化管の運動異常や知覚過敏、精神的なストレス等が関係しているとされ、複数の要因が組み合わさることで発症すると考えられています。
過敏性腸症候群は、症状によって下痢型、便秘型、混合型(下痢と便秘が交互に繰り返す)に分類されます。
過敏性腸症候群の診断は、自覚症状に基づいて行われます。過敏性腸症候群と似たような症状が現れる病気として、細菌性・ウイルス性の腸炎や、潰瘍性大腸炎、クローン病、また大腸癌などがあるため、必要に応じて検査(血液検査や便の検査、レントゲン検査、大腸カメラなど)を行い、他の病気がないかどうかを確かめることもあります。
過敏性腸症候群は、生活習慣(食習慣や睡眠などのライフスタイル)の乱れや、精神的なストレスなどで症状が悪くなることが多いため、まずは生活習慣の改善やストレスの軽減を図ります。運動も症状改善に有効とされます。また、生活習慣の改善で症状がよくならない場合には、症状のタイプ(病型)に合わせて薬物治療を行っていきます。使用される薬剤にはセロトニン3受容体拮抗薬、高分子重合体、消化管運動調整薬、乳酸菌製剤、緩下剤、止瀉薬、漢方薬、抗不安薬など多くの種類があり、状態によって使い分けていきますが、病型に合わない薬を使うと余計に悪くなることもあり注意が必要です。
過敏性腸症候群は完治するものではないので、デリケートな腸とうまく付き合うことで症状を抑え、生活の質を改善していくことを目指します。

投稿
矢野外科胃腸科 院長 矢野 雅文

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