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健康コラム

2019年4月 8日 月曜日

長びく「声がれ」のおはなし

 風邪の時に一時的に声がかれることはよくあります(風邪に伴う急性喉頭炎)。
これは、風邪薬を服用したり、発声の安静を保つことでそのうち軽快します。
 風邪もひいていないのに声がれが続く、徐々にひどくなる場合は気をつけて下さい。(特に喫煙者の方!)
 以下、声帯が動かなくなる病態(反回神経麻痺)、甲状腺機能低下症(橋本病)、加齢変化や心因性、痙攣性発声障害を除く主な病気を挙げてみます。

<声帯ポリープ>

声帯の前方1/3あたりが限局的に丘状に盛り上がる状態。喉の炎症があるところへ、声の濫用や喫煙などがあると生じやすい。

<声帯結節(けっせつ)>

両側の声帯の前方1/3あたりに対称性に生じる小さな突起状の隆起。声を過度に使う歌手、保育士、教師、アナウンサー、エアロビクスインストラクターなどにできやすく、ハスキーなかすれ声。

<ポリープ様声帯>

声帯全体が浮腫状に腫脹した状態。声を濫用する喫煙者に多く、低いがらがら声。病変が高度だと呼吸困難をきたすこともあります。

<喉頭肉芽腫(にくげしゅ)>

声帯の後方の片側か両側にできる腫瘤。声帯への機械的な刺激により生じます。(長時間の手術で麻酔の気管チューブによる刺激、過激な発声、過度の咳払い、胃酸の逆流など)ステロイドの吸入がよく効きます。胃酸の逆流が疑われる場合は胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)を服用する場合もあります。

以上は、いずれも炎症性のもので、腫瘍ではないので心配はありません。発声の安静に努め、禁煙し、消炎剤などで良くならない高度な病変の場合は、全身麻酔による顕微鏡下の手術が必要な場合があります。

<喉頭乳頭腫(にゅうとうしゅ)>

ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされるといわれている良性腫瘍ですが、再発しやすいという特徴もあります。稀に悪性化することもあります。

<喉頭がん>

50代以上に多く、男性は女性の約10倍で、喫煙、飲酒と因果関係の大変深いがんです。約60%強は喉頭の中でも声帯にできるので、初期から声がれが生じます。
上記の病気は、命にかかわるものでもありませんが、これは早期発見、早期治療が大変重要です。ごく初期なら手術せず、放射線治療だけで完治することが多いですが、進行すると歌手のつんくさんのように喉頭全摘術をせざるを得ず、一生発声機能を失います。

声がれが長びき、特にヘビースモーカーでお酒もお好きな方は、一度お近くの耳鼻咽喉科を受診して下さい。外来で簡単にカメラで喉頭(声帯)の診察ができます。

投稿
にしむら耳鼻咽喉科 院長 西村 一